2009/12/17 何と夜間に上腕切断の再接着症例が来ていた! [平日]

7:45 ちょっと遅めの出勤か?今日はカンファもないし、手術日なので手足が若干遅いのだ。早く行っても回診に一緒に回るということもないので、特にすることがないのだ。3Fで軽く朝食を摂ってからセミナー室に向かい作業をした。
8:20 もう手術が始まっている頃なので、見学に入ってみる。Dr.Sabapathyが出張しているからなのだろうか?手術日であるにも関わらず、朝から症例がそれ程多くない。
8:30 Dr.Hariが5歳男児の分娩麻痺症例に対して、腕神経叢展開と広背筋の切離→小円筋への移行を行っていた。何とこの症例はニューデリーからの紹介だそうだ。インドではこの病院が腕神経叢麻痺で有名なのだ。かなり症例も多いようだし。手術は神経刺激を行い、損傷状態を確認していた。上位型の麻痺のようだった。外転拘縮があったので、このような手術を行ったとのこと。
9:00 何と、昨晩(PM7:30頃)に上腕切断の症例が救急で搬送されてきたとのこと。
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気を利かせてくれて、MKロッジに連絡して私を呼んでくれようとしていたらしいのだが、何故か自分の所には連絡が来なかった・・・。何とも惜しいことをした。まだ青年だったこともあり、再接着を行ったとのこと。実に残念だ。そんなことなら病院にずっといるんだったと悔やまれる。昨日会議さえしていなければ、暫く病院にいたのに・・・。しかし、せっかくの症例なので、術後の回診や術前・術中の写真などを見せてもらい、事務の人に頼んでUSBにコピーしてもらった。滅多に見ることが出来ない症例だっただけに本当に残念であった。手術はうまいこといっているようで良かった。
9:20 隣の部屋では、前回手術に手洗させてもらった症例(おばあちゃんの足部軟部組織欠損に対するGlacillis muscle free flap術後の植皮術(術後2日目)が行われていた。この類の手術はconsultant医師でない他のDr.が担当するようである。
9:40 BPIの子供は術後に挙上位を保持するために、ゼロポジションでギプス固定を行っていた。腋窩に強度を上げるためにギプスを巻き終わった後の芯を利用していたのは妙案だと思った。
10:00 そうこうしていると、隣にfree flapの症例が搬入されてきた。この症例は外傷後ではなく、squamous cell carcinomaの摘出術後の症例で足背の軟部組織が比較的広範囲に欠損していた。広背筋を持ってくるとのこと。
10:20 足部の血管の展開に入る。実に解剖を熟知しているのだろう。あっさり同定完了となる。ドイツBGのあるDr.は血管同定だけで2時間近くかかっていたこともあったと大きな違いを感じてしまった。いくら細かな血管が縫えても解剖を知らなければ中途半端だということである。
10:40 広背筋採取のため、全身麻酔に移行し体位変換を行う。別の部屋では、外傷後の大腿~下腿にかけての皮膚欠損のデブリと植皮術を行っていた。
11:00 広背筋のHarvestingに取りかかる。Dr.Hariがいつものバイポーラー焼き切りテクニックでさっさと展開していく。重要なポイントは胸背動静脈の同定にある訳であるが、他の部位ではちゃっちゃか突き進んでいる。ものの20分程度で血管のクランプを終了していた。やはりBGと比較してしまうのだが、あちらでは2時間くらい採取にかかっていたかも知れない。自分でも1時間もあれば十分出来そうな気がする。重要なポイントが解ってきたような気がするのだ(想像手術にて)。
11:30 採取した皮弁を足部軟部組織欠損分に固定した後、マイクロを導入する。この固定も何気なく行っているが、血管の緊張や吻合の邪魔にならないように周囲の軟部組織をretractしたりと、キーポイントは多いものと思われる。
12:00 いったん血管吻合に取り掛かってしまえば、後は流れ作業のように早い。血管の扱い方、糸・針の持ち方、縫合のスムースさ、持針器の持っていき方など、一流の手技を見ておくことは、今後自分で行ってみる上で役に立つと思われる。血管縫合の順番は普通に順々に縫合している。途中間が広かったかなと思われる所に追加で縫合を加える。しっかり対側を縫わないように確実に1針ずつ縫い進めている。手の震えさえなければこの程度の血管径ならば簡単な手技なのである。
12:30 血管縫合は終了した。クランプを外す前に、静脈の裂けていると思われる個所を1針追加縫合していた。そこら辺の勘というものが素晴らしいのだと思う。当然、血流良好であった。今日はこの筋弁の上に分層植皮を直接行うようだ。広背筋の場合は同日植皮をするとか言っていた。
13:00 すかさず、昼食に向かう。昼は多めに取ろうと思い、大皿のMealsを頼んだ。今日はライスに大きなチップスみたいなものとパロタ?(ナンみたいなもの)が付いてきてちょっと多かった。
13:30 午後は形成外科の方は特に予定手術はないようだったので、セミナー室でゆっくり過ごす。何やら看護学生たちが集まって何やら喋っていたが、ネットのケーブルだけ貸してくれと言って、一緒にいさせてもらった。しかし、べちゃべちゃと良く喋っていた(もしかして私の良からぬ噂とかだったのか・・・?)。
14:00 整形外科の手術室に入ってみる。小児整形の症例があり、idiopathic chondromalasiaの症例に対して、股関節前外側からのアプローチで関節包切除と部分的な骨膨隆?の切除を行っていた。どうもそこがbumpみたいになっており、屈曲した際に臼蓋側とimpingementするらしい。今スポーツ整形外科で流行りのFAIの概念に似ているなと思ったりした。
14:40 隣では、また脊椎の固定術が行われている。一日に何例も固定術が行われているようだ。おそらく手術も早くて上手なのだろうが、正直あまり見る気になれなかった。申し訳ないのだが適応に関してむむむ・・・。
15:30 形成外科の4F手術室に様子伺いに降りていくと、またもや上腕からの切断症例がやってきていた(ここへ来て既に3例目)。この症例は残念ながら、肘やや近位からの挫滅状態が強く切断術が選択されていた。必ずしも救肢だけが全てではないということを改めて思い知らされてしまう。
15:45 一番端っこの部屋の暗がりで若手のドクター達が集まって何やらしているので寄ってみる。すると先ほど切断になった症例の前腕部分を持ってきて、一生懸命解剖の勉強をしているのだ。昔、自分も下腿の切断症例を使って解剖の勉強をしたことを思い出した。面白そうだったので、自分も参加させてもらった。レジデントドクター達はここぞとばかりに解剖の知識を整理しようとしていた。勉強熱心で感心する。常に向上心なのだな。
16:30 再び整形外科の方に戻ってみると、下腿遠位の粉砕骨折でGustilloⅡの開放骨折だった。何と髄内釘を準備していた。体位は実にやり易そうなsettingで参考になる。踵で支えて位置を変えられるようにしてある。
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イメージのアームが入り易い。スペースが広いというのが良い。骨折部は結構遠位だし、開放だから・・・と日本ならまずは洗浄して創外固定立てておいて、二期的にMIPOでplateか?という症例なのだが。実に思い切った決断をしている。上手くいけば確かに一気に解決すると思われるが。。。やって悪くはないが、philosophyの違いと思われる。手術の見所としては、遠位骨片へのguide pinの刺入の際にcenterに入れるよう注意していたこと。遠位の横止めロッキングスクリューはimageでfree handで刺入していたこと。器械がなくても出来るような技術を身につけておくべきだと思われた。
17:10 隣の部屋では、前腕両骨骨折のORIFを行っている。橈骨の整復に少し苦労しているようだった。骨折レベルはほぼ中央だった。背側からの侵入だった。
17:20 脊椎の固定をしていたが、整形外科手術室は後にして、形成外科の方に戻ってみる。もう終了しているだろうと思っていたが、指神経+指動脈損傷の症例が来ていたようで、マイクロ下に縫合を行っていた。動脈は必ずしも縫合する必要はないかも知れないが、教育的配慮だろうか?もう縫合後で止血や閉創に入っていた。
17:30 Dr. Bharathiとたまたま会って話をしていると、明日が最後の日だから、朝のカンファで何かプレゼンしないか?と言う流れになってしまい、勢い余って、ではちょっとだけと言ってOKしてしまった。まともに英語も喋れないのに・・・。急いでMIPOの発表をアレンジして作り直すことを決意する。
18:00 今日も興味のありそうな急患が来たら是非呼んでくれと言って別れた。そのままセミナー室に向かって、インターネットから画像を取り込んだり、明日のプレゼンに備えることにした。
19:00 もう暗くなっていたが、今日のリクシャーのオヤジ達は60ルピーとか言ったり、MKロッジを知らない風だったので、そのまま歩いて変えることにした。
19:40 Rajaと何回か来たレストランに寄る。バターナン+チキンカレーをオーダーした。
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20:30 ロッジのオヤジとチェックアウトについて話し合った。明日朝チェックアウトして、荷物を夜まで預かってもらい、夜病院から戻ってきたら出ることにしよう。インドルピーが足りなそうなので、USドルで支払っても良いかと尋ねると、今日のレートを調べてくれて計算してくれた。結構話がわかるじゃないか?取り敢えず、USドル分だけ払っておき、明日帰るときに残りを払うことにした。もういよいよ明日出発になってしまったのだな~と改めて実感した次第であった。
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