2009/12/16 整形外科チームの手術も見学してみた [平日]

7:35 少々遅れて病院に到着。今日も朝のカンファレンスがあるはずだが何となく遅れてみた。ちょうどカンファに向かうドクターと階段で一緒になり(少しホッとする)、セミナー室に入った。すでにDr.Brahthiが何やらプレゼンしている。どうやらカメラの特徴や上手な取り方についてのようだった。どうやらトピックは何でも良いようである。シャッタースピードやら、絞りやらの説明から、逆光の時の上手な写真の撮り方などを説明していた。デジカメは殆どが日本製を使用しているということから、最後に日本から来ている私に話を振られたのだが、上手に切り返すことができず、がっかりしてしまう。。。
8:20 一人セミナー室に残り、インターネットをつないで作業してみる。今日は外来の日だったのだが、整形外科の手術を見学させてもらおうと考えていた。3Fの喫茶で軽い朝食を摂った後、4Fの形成外科の事務室に向かう。
9:00 今日の午前中は、整形外科の手術を見学したい旨を話すと、麻酔科の先生が5Fへつながっている階段を教えてくれた。ひとまず、ここで着替えてから上に行くことになる。Mr. Raviが親切に一緒について案内してくれた。Jeremyが今日で最後だということでみんなで記念撮影をした。マレーシアに帰っての活躍を祈った。
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9:20 脊椎の手術は腰椎の圧迫骨折に対して、インストゥルメンテーションを用いた後方固定を行っていた。圧壊した椎体にはセメントを注入しているようだった。途中、Dr.Jeremyもやって来た。彼も今日は整形外科の手術を見学したいとのことで、今日が研修最終日となるようだ。正直、脊椎の手術の見学は本腰を入れては見れなかったが、全体の雰囲気や看護師の動き、イメージの入れ方などを見ていた。イメージは放射線技師?か誰かが言われた通りに結構マメに動いていた。手技的にも慣れているのだろうか、笑って喋りながら普通に行っていた。看護師も専任のようで手慣れていた。
10:00 隣ではTKAをしているようだったが、また着替えをしなければならないらしく、面倒なので断念する。Traumaの手術はどこでやっているのか?と尋ねてみると、同じ階だが、また別の手術室らしいことが解る。しかし、今の時間そちらではやっておらず、4Fの形成外科のところで幾つか入っているようだということが解る。
10:20 また4Fに戻ってきた。珍しく脳外科分野の脳腫瘍の摘出が始まっている。Neurosurgeonが来てやっている。Assistには形成外科にもいたDr.がしている。何だか扱っている対象疾患が良く分からなくなってしまう。。。しかし、好奇心旺盛な私は、学生実習以来の開頭手術の手術を見学した。すでに開頭は済んでしまっていたので残念だったが、硬膜の切開や、エコーを用いて腫瘍の場所を確認し、穿刺したり、腫瘍を摘出する手技を見ることができた。マイクロ下に行っていたが、結構大胆に行うものなのだな~と感心してしまった。細い血管は凝固していたが、太い血管は温存していた(当たり前か?)。
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10:40 隣の部屋では、Volar Barton+Shaufferの関節内骨折+尺骨遠位端骨折のORIFを行っていた。展開はあまり慣れていない風だった。方形回内筋の処置はちょうど見逃してしまった。PlateはconventionalなシンセスのT-plateでノンロッキングだった。少し時間をかけてしていたようだ。見た目はまだ若そうなDr.(おそらくTrauma team)が一人でしている。その隣では、1歳児の内反足に対する、後内側解離術を施行している(両側)。まずギプス固定をtryしてみることもあるとのことだが、この症例は程度が強いということで手術に踏み切ったのだそうだ。あまり日本では見慣れない症例がこちらでは普通にあるようだ。しかし、小切開で実に手慣れた感じで行っていた。
11:00 救急対応室では、レジデントが看護師とともに火傷患者の包帯交換をしていた。やはり火傷患者の処置というのは大変手間のかかるもののようだ(ドイツのBGでの処置を思い出した)。
11:30 アキレス腱 の開放損傷が準備されている。結構深い創らしく、他の損傷もありそうだとのこと。幸い主要な血管損傷はないようである。内部を展開してみると、FHLの断裂も伴っていたとのこと。TPや後脛骨神経はintactらしい。縫合は方法は、前回の見学時と同様に、ケスラー縫合に辺縁の連続縫合だった(強度的に弱いのに・・)。その分、ギプス期間が長くなるのである。
12:00 麻酔科の先生が、空いた部屋でエコーを用いて伝達麻酔をしている。今後は教育的にも確実性の点からも、エコー下のブロックが浸透していくものと思われる。暫く麻酔が効くまで時間がかかるので、他の準備などをしてから部屋を移動していた。この症例は橈骨遠位端骨折の患者だったようである。
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12:30 更に急患患者が運ばれてくる。こちらはかなり重症で両側下肢の礫創である。左は大腿部でのinternal degloving損傷で末梢の血流は途絶えているようだ。右は下腿以遠の挫滅創であるが、足部周辺はぐちゃぐちゃになっていた。準備しているので、今のうちに急いで昼食を摂ってこようと思い立ち、手術室を後にしてしまった。
13:00 急いで食べて戻ってきたが、もうその頃には左の大腿側は切断された後だった。迷いもなくばっさり落としてしまっている。Repairは考えなかったのだろうか?Ganga hospitalのinjury severity scoreなるものが存在しているようだが、それを用いて切断基準を決めているのであろうか?しかし、素早かった。もうDr.Hariが逆の下腿切断の方に取りかかっている。こちらも迷いなく落とす感じだ。骨の切断にはギグリsawを用いている。Bone sawも良いが、こちらの方が簡単に切れると思った。
13:30 更に上腕骨骨幹部骨折のORIFが始まっている。先ほど橈骨遠位端をしていたDr.がまた一人でしている。先週にも似たような症例があったが、やはりopenで整復してplate固定をしている。アプローチは腹側からの侵入であった。このアプローチだと橈骨神経を展開することはないのである意味楽かも知れない。プレートはブロードプレートだろうか?結構分厚い。斜骨折だったので、まずはlag screwで固定しておき、その後は中和plate固定というconventionalなやり方だ。この人たちは毎日このような仕事をこなし続けているのだろうか?やはり症例数がポイントであろう。日本のように分散してしまうのは、ある意味中途半端なのだ。日本は小~中規模の病院が多すぎるのである。中規模公立病院は統廃合した方が良い。
14:00 足部の軟部組織欠損に対して、Glacillisのfree flapが行われている。執刀は、Dr.Bharathiだった。かなり巨漢の男性でharvestingに苦労しているようだった。閉創役がまだいなかったので、ちょっと不安になっていたが、この先生は私をこき使うことはなかった。幸い、バングラディッシュからの研修生がやって来たので助かった。そう言えば、彼はこの間、ロッカールームに絨毯をひいてしゃがみ込みイスラムのお祈りをしていた。敬虔なイスラム教徒なのだろう。ここではヒンディー教がメインで、女性はみな眉間にTikaという印をつけているし、シーク教(ターバンのドクターがそう)、イスラム教と多様である。日本では宗教のことを考えることなどないだけに新鮮な感覚である。また、足部の血管の展開にあたって、深腓骨神経が縫合時に邪魔になるとのことで、縫合糸を用いてretractしていたが、術後の神経障害が危惧されると思った。この患者にはあまり重要でないとか言っていたが。果たして。。。
14:30 手術の手洗いもたまにはいいのだが、自由に動き回れなくなるのが難点である。今日は色々と移動して見学できる。隣の部屋では、Groin flapの術後3週間で切り離しの手術が入っていた。伝達麻酔+腰椎麻酔で行っていた。Groin flapは思いのほかeasyな手技なのかも知れないと思った。症例を見たことがないと術式の想像がつかないから。一度見てしまうと自分でもやれる気になってしまう。それ程難しくはない。
15:00 もう1例のGracillis muscleのfree flap予定の症例が入ってきたが、足部の軟部組織壊死部分の展開をしてみると、内部が感染徴候があり、骨の切除まで行わなければならなくなっていた。今日はデブリドマンだけに留めて、後日経過をみてから計画し直すとのことになった。それにしてもこの症例に関しては、初期治療をもう少ししっかり行っていればこうならずに済んだかも知れない。固定がイマイチだったし、おそらく清潔の概念が形成外科チームは若干弱い気がする。失敗症例にこそ今後の改善の余地があるはずだと思わなければならない。しかし、本当に忙しいと痛感する。執刀者は手術予定の把握はできているのであろうか?また、学会活動や論文執筆などはいつ行っているのだろうか?不思議でならない。
15:30 再び、Glacillis muscleのflee flapの方に戻ってみる。イスラムDrが真面目に閉創をしている中(かなりゆっくりしている。あまり慣れていないよう)、血管吻合を着々と行っていた。flap側の静脈の1本の径が細く、壁も薄いのでそこは手こずっていたが、その他は順調だった。多少の口径差はあまり拘らずに上手に縫合していた。クランプを外して、血管の拍動が良好な瞬間がこの手術の醍醐味だと思う。多少のleakは(静脈の分岐の処置が甘いと余計な処置を後でしなければならなくなる)修復することになる。Assistがleak部分に生食をflushしながら、leak部分を同定し、縫合していく。倍率は変えずに同じ視野で行うことが手早く仕上げるコツだと思われる。
17:00 今日の手術はだいたい終了していた。たくさんの症例を見たので結構満足。インターネットをしにセミナー室に向かうが、何やら会議をしていたので入ることが出来ず。そのまま3Fの喫茶に向かってチャイ休憩をする。
17:30 時間潰しに病院内をぶらつく。あまり行ったことがなかった2Fや1Fに行ってみる。何と30人くらい収容している大部屋があったのには驚いた。安いのだろうか?そこにいるのは、比較的状態も安定している人たちみたいで活気があった。その他、地下の理学療法室にも顔を出した。それ程広くはなかった。また地下には脊椎のマイクロ実習室が備わっているのも発見した。
18:00 もう終わっているだろうとセミナー室に入ると、まだやっている。今日は諦めて帰ることにする。6Fのレストランで夕食を頂くことにしよう。Parotaというナンみたいなもの+カレー数種を頼んだ。腹八分目にしておいた。
18:30 今日は歩いて帰らず、普通にオートリクシャーで帰った。途中、運転手のおっさんがガソリンスタンドに入っていったので写真に収めておいた。まさかガソリン代まで払わせることはないだろうな?とちょっと訝しがったが大丈夫だった。
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19:00 ちょっと早く帰ってきてすることもないので、洗濯でもしてゆっくりすることにした。
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朴

ちょっと>。< モザイクしたほうがいいかもです。


by 朴 (2010-09-12 18:22) 

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